建築コンサルタント
辰村 定男
VEに定評のある建築コンサルタントで、一級建築士。株式会社メディックス都市開発役員。
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価値工学と医院建築
品質の良い医院建築をスピーディに
ローコストで造る為に
日本の建設業は他の製造業に比べ非常に遅れていると言われています。例えば自動車業界で実質世界No1のトヨタは「ムリ」「ムダ」「ムラ」を省き、常に改善を行い、秒単位の製造管理を徹底して「トヨタ生産方式」を確立し、世界の製造メーカーの手本となっています。それに比べ建設業は、1日単位の製造管理であり、コスト面でも非常に不透明になっています。品質改善、コスト改善よりも、公共工事依存、談合依存の体質であることは、昨今のニュースからも明らかです。
私たちは品質の良い医院建築を造るために、そこにメスを入れ、品質の良い医院建築を、透明性、公平性のある適正な価格で提供出来る様に心がけています。今回は、その中の手法をご紹介していきたいと思います。
バリューエンジニアリング(Value Engineering)
バリューエンジニアリングは通常VEと呼ばれ、日本語では「価値工学」と訳されています。 同じ機能を達成させるために、よりコストの低いもの、あるいはより機能が高いものを探し出すことにより、より価値の高い製品にすることができます。 製品の「価値」(Value)を高めるために、必要な「機能」(Function)とそのための「コスト」との関係を把握し、手順をシステム化することで、検証していく手法です。
製品の価値(Value)とコスト(Cost)と機能(Function)との関係は、次の基本公式によって成り立っています。
V(価値)=F(機能)/C(コスト)
以下に、価値を高めるためのパターンをご紹介いたします
▼タイプT
(機能はそのままでコストを下げ価値をあげる)
同じ機能を担うもので、よりコストの低い代替品と交換する又はコストの低い新技術、工法を取り入れることにより価値が上がります。
▼タイプU
(コストはそのままで機能を上げ価値を上げる)
同じコストのもので、より機能の高い代替品に替えることにより価値があがります。
▼タイプV
(コストも機能も上げ価値を上げる)
一般に機能が上がるのだからコストが上がってあたりまえという考え方がありますが、コストの上昇分を機能の上昇分よりも少なく抑えた場合に価値があがります。
▼タイプW
(コストを下げ機能を上げて価値を上げる)
機能を上げコストを抑えられたとき最大限に価値が上がります。
たとえば建築の仕上げで60cmX60cmのタイルを貼る仕様だったとします。もしこのタイルの代わりに海外から大理石を直輸入したとします。機能が上がり、コストはタイル貼りの30%ダウンすることが出来ます。
以上がVEのパターンです。VEを取り入れることによりコスト削減のほかに、品質確保、技術力の向上、作業効率の向上、安全性の向上、環境改善といった効果も得られます。
PM/CMコンストラクションマネジメント
PM/CMとは、前述のVEの視点を活かし、施主であるドクター、施工者、設計者との関係の中で、第三者として、建築プロジェクトマネジメントの専門家であるPMr/CMrが参画し、ドクターの立場に立って共にプロジェクトを進めていく方式です。
医院建築は、患者さんに選ばれる医院建築であることはもとより、開業後のオペレーション機能を最大限に活用できることが求められます。
私たちは、多くの病医院や福祉施設との共同作業への参画から培った建設事業への豊富な見識、医院独特の設備や医療機器に関する豊富な知識をベースに、ドクターのよきパートナーとして、コーディネーターとして医院建設事業を総合的にコンサルティングしています。
ここで活かされるVEの手法としては、初期投資としての建設費も第三者の立場からチェックを行い、適正価格を把握すること等が挙げられます。規模の大きな医院の場合では、建設費の1割から2割を削減できる場合もあります。
私たちは、ドクターの医院建築に関する構想、企画、設計、発注、施工、監理の各段階において、総合的にスケジュール管理、コスト管理、品質管理、情報管理、調達管理等を行い、経営的視点でご開業の成功を目指しています。
豊富な実績と高品質なマネジメント、VEによる高付加価値化によって、ドクターの利益の最大化を図ることができるのです。
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