総合福祉コンサルタント
柏木 哲夫
総合福祉コンサルタントとして福祉関連施設の開設に携わる。メディックス総合研究所顧問。
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新時代の医療と福祉
医院開業をお考えのドクターへ
医療・福祉の業界にとって2006年度は大きな変革の年になります。
日本経済はバブル崩壊以降苦しみながらも、昨年末からようやく立ち直りの兆しを見せ始め、民間設備投資も活発になりつつあります。
しかしながら、医療・福祉を取り巻く環境はそれに反比例するかのごとく一段と厳しさを増すことが予想されます。2006年度4月より、介護保険の大幅な見直し・医療制度改革と矢継ぎ早に制度改革が行なわれます。
医療・福祉事業者にとって、そのスピードにあわせて経営の舵取りをしていく事は、並大抵の努力ではありません。しかしながら既存事業に甘んずることなく制度改革(変化)をチャンスと考え、時代の流れ、人々のニーズ、新しい制度を的確に捉えることで、事業変容していく行動力が今必要であるといえるでしょう。
今回のコラムでは、医療と福祉の関わり方についてフォーカスさせていただきます。
「健康長寿」の時代
今回の医療・介護保険の両制度改正の様々なキーワードの中でも、「予防重視型への移行」という側面が色濃く打ち出されています。未曾有の高齢化社会の入り口に一歩、足を踏み入れた日本は従来の単なる「長寿」から「健康長寿」へと目標を転換したのです。この目標に向かって、医療・福祉はより近い部分で協力していくことが必要となりました。言い換えれば、「健康長寿」を実現するために、医療と福祉の協力は、必要不可欠な関係であるということです。
生活コーディネーターとしてのクリニック
下記の図1をご参照ください。
「予防重視型への移行」を考えた場合、このように「かかりつけ医」として地域密着型のクリニックがハイリスク高齢者・新予防給付における介護予防及び、生活習慣病予防への取り組みの中心的な役割を担うべきであると考えます。
現状として、このような取り組みが地域に貢献しているケースが見受けられますが、今後さらに、地域の医療のみならず『生活全般のコーディネーターとしてのクリニック』という位置づけが必要になってくるでしょう。また具体的に全ての予防には運動訓練介入を避けて通ることは出来ません。そういった運動訓練には常に循環器系や筋骨格系へのリスクが伴います。これらに対するリスクマネージメントには医療の裏づけがなければなりません。リスクを回避しながら運動介入により予防の効果を挙げることが望ましいことは言うまでもありません。これからのクリニック開業には、医療と福祉を複合的に捉える視点をもつ必要があるといえるでしょう。
次回は、予防医療に重点を置いた在宅医療の新しい方向性を考えたビジネスモデルについて、ご紹介いたします。
図1 予防重視型モデル
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